TOEICオンラインはスコアが下がる?マークシートとの違いを解説
皆さんこんにちは!Makieigoスクールの西牧です。
2020年からTOEIC IPテストではオンラインでの受験が可能になりました。そこで最近はオンラインの需要もかなり増えてきているようです。
そこで皆さんが気になっているのは、オンラインと紙版の公開テストでは本当にスコアが同じなのかということです。確かに形式が違うのでスコアが変わってもおかしくないと考える人もいるでしょう。
そこで今回はTOEIC IPテスト実施団体であり、今までにたくさんの受験者を見てきた私が、TOEICIPテストのスコアが下がるのか、それとも上がるのかを徹底解説します。実際に受けた方の声も載せてありますので是非最後までご覧ください。
TOEIC IPオンラインとは
まずTOEIC IPオンラインテストとはどのようなテストか簡単にお話しします。
TOEICは大きく分けると公開テストとIPテストに分かれています。
公開テストとは、TOEIC公式のホームページから申し込むことができる、一般的に受けられているテストです。
IPテストとは、ホームページから個人が申し込むものではなく、企業をやスクールがIIBC(公式)に変わって運営するテストです。そのため受験の場所や申し込み方法などは違いますが、スコアなどは基本的に同じです。
そのIPテストの中には、紙のマークシート版とオンライン版の2つがあります。今回の記事ではそのIPテストのオンラインについてお話します。
TOEIC IPオンラインのスコア
それではまずTOEIC IPテストオンラインのスコアについてお話しします。
TOEICの公開テストは皆さんご存知の通り、5点刻みで990点満点のテストです。そしてTOEIC IPテストオンラインも、同じように5点刻みで990点満点となっています。
同じ990点満点なので、スコアの解釈は同じだと考えられますが、念のため公式の見解を見てみましょう。
スコアの意味はマークシート方式と同じです。
TOEIC L&R IPテスト(オンライン)受験のしおりより
公式の見解によると、文字通りマークシート方式とスコアは同じようです。
しかしこれは本当でしょうか?疑う人も多いでしょう。その理由は、テスト時間が1時間だったり、マークシート版とオンライン版では様々なことが違うからです。
違いについてはこちらで徹底的に解説しています。
ここからは念のため、本当に公式が言っている通りスコアは変わらないのか徹底的に比べていきたいと思います。
TOEIC IPオンラインでスコアが下がる原因?
TOEIC IPテストオンラインでスコアが下がりそうな要因がいくつかあります。ここでは3つご紹介します。
先読みができない
まず最も皆さんが心配しているのが、Part3,4で先読みができないということです。
先読みというのは、Part3,4で、音声が流れ始める前に設問や選択肢を読んでおくことです。これをしておくことで、話の流れがある程度予想がついたり、どのようなことに注意して聞かなければいけないのかわかります。そのためTOEICの1つのテクニックとして非常に重要視されていることです。実際私自身もパート3、4の先読みは徹底するようにいつも指導しています。
しかしそれができるのは、マークシート版では問題が冊子となっており、Directionが流れている時に読んだり、次の問題が始まる前に読むことができるからです。
しかし、オンライン版ではそれができません。その理由は、問題が読まれる直前になるまで、その問題の設問と選択肢が表示されないからです。そのため、マークシート版で先読みをしている人は、解き方を大きく変える必要があります。
先ほどお話した通り私自身もかなり重視しているテクニックですし、他のスクールでも先読みを重要視していないところはありません。そのため、先読みができないとスコアが下がってしまうのではないかと考えるのは当然です。
集中できない
もう一つの要因は、集中できないということです。
公開テストやマークシートのIPテストでは、試験官がいて周りにも受験者がいて、緊張感がある中で試験を受けることができます。
しかし、オンライン版の場合、主に自宅で受けることが多いと思います。自宅では家族の話し声が聞こえたり、最悪の場合子供やペットに邪魔されるということもあるかもしれません。
もし書斎などがあり、1人になれる部屋があったとしても、やはりいつもリラックスしているような環境で試験を受けるというのは集中できない可能性が高いです。
集中できなければとスコアが下がってしまうのは当然です。
スクリーンで読むのが遅くなる
最後の要因は、紙ではなくスクリーンで読むということです。
一般的にスクリーンで読むと読解速度が多少下がると言われています。それに加えて長文問題などは、1画面に表示することができず、スクロールなどしなければいけません。
そのため特にリーディングにはマイナスの影響があると考えられます。
TOEIC IPオンラインでスコアが上がる要因?
しかし逆にTOEIC IPオンラインではスコアアップに繋がるかもしれない特徴もあります。ここでは3つご紹介します。
時間が短く集中でき、疲れない
最も大きい要因が、TOEIC IPオンラインテストは、1時間で終わるということです。マークシート版では2時間かかるので、半分となっています。
これはかなり大きいメリットです。その理由は、TOEICのマークシート版を受けたことがある人はわかると思いますが、2時間集中して英語の試験を受けるというのはかなり疲れます。リスニングは終わった時点ですでに45分経っており、多くの受験者はすでに疲れてしまっているでしょう。実際、最後の長文問題まで集中が続かなかったという人はたくさんいます。
しかしTOEIC IPテストオンラインでは、リスニングとリーディング合わせても1時間で終わります。これなら疲れ切る前にリーディングに入ることができますし、力を十分に発揮することができるでしょう。
音声がクリア
もう1つの理由としては音声がクリアに聞こえるということです。
公開テストでは時々、会場によっては音声が少しこもったような音になってしまいます。実際それによってどれだけスコアが変わるかわからないですが、受験者としてはかなりストレスに感じると思います。
音が悪く、聞き取りづらいことと、それによるストレスでスコアが下がってしまうことも考えられるでしょう。
それに対してオンラインでは、イヤホンをして聞くことができるため、はっきりと聞くことができます。実際に聞いてみるとわかりますが、イヤホンで聞くのとスピーカーで聞くのでは、やはりイヤホンの方がはっきりと聞こえます。
そのためリスニングには有利な可能性が高いです。
マークシートを塗る時間がない
最後に非常に細かい点ですが、マークシートを塗る時間がなくて済むのも大きなメリットです。非常に単純な計算ですが、マークシートを塗っている時間を計算してみましょう。例えばマークシートを1つ塗るのに2秒かかるとすると、合計で400秒、つまり6~7分程度をマークシートを塗ることに使っていることになります。
オンライン版では、マークシートを塗る代わりにワンクリックで済むので単純計算でも半分ぐらいにはなると思います。意外とマークシートに塗る時間は多いですし、TOEICは時間に追われるテストですので少しでも時間短縮ができるのは大きなメリットです。
TOEICのスコアの誤差
最後に念のため、TOEICスコア自体の誤差について触れておきましょう。
もちろんどのテストも完璧ではありませんので、受験者の英語力を100%正確に測ることはできません。これに関しては当たり前のことで、別にTOEICが悪いテストというわけではありません。
しかしスコアを比べるにあたって、どれぐらいの変動があるのかは知っておくべきです。
そしてTOEICはどのくらいのスコアの変動があるかというと、実力に対して、最大50点の誤差があると言われています。例を見てみると分かりやすいです。
TOEIC600点の場合
下に誤差が出る=550点
上に誤差が出る=650点
➡実力が600点の場合、550点~650点のスコアが出る可能性がある。
毎回これほどの誤差が出るわけではなく、最大でこれぐらい出る可能性があるということです。特に何度も受けている人はだんだんスコアが安定してくることが多いです。
しかし、総合で50点ぐらいの違いなら、試験形式の影響というよりも、誤差の確率が高いと言えます。
実際にTOEIC IPオンラインを受けた人の事例
このようにTOEICオンラインのメリットとデメリットを比べてみると、マークシート版よりもスコアが上がる可能性も下がる可能性も考えられます。
それでは実際に受けた人の感想やスコアがネットにいくつか載っていますのでそちらを見てみましょう。
事例1(オンラインが下がった)
まず1つ目の事例はこちらです。
マークシート 820(L425、R395)(2020年10月4日受験)
リーマンエンジニアのブログより
オンライン版 750(L365、R385)(2020年10月24日受験)
この方の場合はマークシート版よりもオンライン版の方が70点も低いという結果になっています。
先ほどお話しした誤差を考えたとしても、70点の差はかなり大きいです。しかも、この方の場合はリスニングが60点も下がっています。1つのセクションで60点も下がるというのは誤差とは考えづらいです。もちろん体調不良などの影響も考えられますが、形式の違いによることも考えられます。
特にこの方は定期的にTOEICを受けていて、リスニングはかなりテクニックに頼った解き方をしていたようです。
先ほどもお話しした通り、TOEICにおいてPart3,4の先読みはかなり大切であり、慣れてくると話の流れがかなりわかってきますし、答えを待ち伏せしたりすることができるようになります。
そのテクニックに大きく頼っている今回のような受験者は、オンラインだと下がってしまう可能性があるかもしれません。
事例2(同じ)
それでは次の事例を見てみましょう。
マークシート 600点
エンジニアの電気屋さんより
オンライン版 560点
こちらの方もオンライン版の方が40点低いという結果になっています。
しかし先ほどもお話しした通り、40点程度なら誤差の範囲と考えることができます。
そのためこの人の場合は、ほぼ同じ結果が出たと言えるでしょう。
実際、この方の感想としても「ほぼ同じスコアだった」と書かれています。多少誤差がありながらも、いつもこれぐらいのスコアに収まっていたということでしょう。
事例3(オンラインの方が高い)
最後にもう一つの事例を見てみましょう。
マークシート 700点
Yahoo知恵袋より
オンライン版 850点
この方はマークシートよりもオンライン版の方が150点も高いという結果になりました。
150点というのは明らかに誤差ではなく、英語能力が上がったか、テスト形式などの何かしらの影響があったと言えます。
この方の受験時期が定かではありませんが、このようなコメントが書いてあります。
私は集中力が続きにくいので、ペーパーの2時間は結構苦痛で途中でだれてしまってたのですがオンラインは短いですし合間に休憩できる時間がちょっとあるのでやりやすかったです。
Yahoo知恵袋より
このようなコメントを見ると、やはりオンラインが短く集中力が切れなかったというのもスコアアップの一つの要因になっている可能性が高いです。
TOEIC IPテストを運用した実体験
それでは最後にTOEIC対策スクールを運営し、TOEIC IPテストをマークシート版もオンライン版も運営してきて、多くの受験者のスコアを見てきた私なりの考えをお話しします。スコアと受験者の感想を一言でまとめるとこのようになります。
スコア: マークシートもオンラインも同じ
受験者の感想: 「オンラインだと、慣れないから下がった」という人が多い
実際のスコアと受験者の感想で違いがあります。これはどのような理由でしょうか?
スコアが同じになる理由
まずスコアが同じになる大きな理由としては、TOEICを作成しているETSがマークシート版もオンライン版も同じになるように徹底的に研究しているということです。
よくTOEICは日本でしか通用しない、と言われますので少々ネガティブなことを聞くことが多いですが、作成しているのはETSという世界的にも有名な団体です。アメリカの大学院留学などで主に受け入れられているTOEFLというテストや、アメリカの大学院入試で使われるGREなどを作っているため、かなり信頼が高い団体です。
そのようなしっかりとした団体が作っていますので、そもそも大きな差はないと考えられます。
また先ほどもオンラインのメリットとデメリットを紹介しました。デメリットばかりに目が向くことが多いですが、メリットもかなりたくさんあります。そのためそれらがちょうどいいバランスになり結果的に同じようなスコアになると考えられます。
また、多くの人は心配する先読みについてですが、先読みができなくても結果的にスコアは同じような結果になっています。そのため、マークシート版で先読みをしている人も、オンラインでは先読みができないからと言ってスコアが下がることはありませんので、安心してください。
オンラインで下がったという人が多い理由
それではなぜオンラインで下がったという人が多いと感じるのでしょうか?
それは単純に、スコアが上がった場合には「スコアが上がって良かった!」と単純に喜んでくれる人が多いため、オンラインで受験した、という環境の違いにあまり目が向きません。また、一見すると先読みができないなどデメリットが目立ちますし、いつもと違う形式なので、それがポジティブな影響を与えると考える人は少ないでしょう。
そのため、「オンラインだから上がった!」という感想にならないからです。
逆に、下がった場合にはどうしても「いつもと違う形式(オンライン)だった」ということに目がいってしまいます。
先ほどお話した通り、同じマークシート形式を受けても、上下に50点程度の誤差はあります。
そのため実力が同じだったとしても、2回受けた場合には、スコアが下がる確率はかなり高いです。
誤差でスコアが下がってしまった場合は、受験者の実感としては「前回と同じような感触だったのに下がってしまった」となります。そうなると、「自分の中では同じようなパフォーマンスだったのに、下がってしまったということは、やはりオンラインだから下がったのだ」という結論に至ってしまいます。
このような理由から、スコアが上がった人は「オンラインだから上がった」とは思わずに、スコアが下がった人は「スコアが下がってしまったのはオンラインのせいだ」と考えてしまうからだと感じます。
結局スコアは下がるの?
以上のことから、まとめるとこのようになります。
ほとんどの人の場合、マークシートとオンライン版でスコアが変わることはありません。ただし、TOEICはマークシート版でもオンライン版でも50点ほどの誤差は出てくる可能性があるので、多少スコアが変わることはあります。しかし、それがオンライン版だからというわけではなく、一般的な誤差によるものと考えられます。
ただし、当たり前のことですが、人によって向き不向きはあるため、オンライン版を受けて誤差以上に下がってしまう人もいれば、オンライン版の方が明らかに伸びたという方もいることは確かです。
また、しっかりと対策している人ほど、安定して高いスコアを出すことができます。そのため、マークシート版でもオンライン版でも、しっかりと対策することが必要です。
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まとめ
今回の記事では、TOEICのマークシート版とオンライン版でスコアの違いがあるのかまとめました。
基本的にはマークシート版もオンライン版も同じようにそこが出ますので、どちらを受けるにしても安心して受験してください。
皆さんのスコアアップを応援してます!
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